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ベッドへと放り出された雪十は猫のように四つん這いに手足を付いて、着地した。
肩で息をしながら睨みつけてくる雪十の目には殺意すらも混ざっていて、憧燿は赤い目を見開いて雪十を見下ろした。
「俺はあんたの性奴隷じゃない。突っ込むだけのオモチャが欲しいのなら他当たれ」
雪十の言葉に憧燿の瞳がさらに大きく見開くものの雪十は怯まなかった。
時間としては一呼吸ほどだったが長く感じた沈黙が過り、仁王立ちしていた憧燿がベッドに膝立ちで乗り上がった。
「すまない。私を許せ。雪十」
元よりまともな倫理観を持ち合わせていな憧燿に普通の恋人関係を望むことの方が難しいのだ。
暴力的に激しいSEXも盲目的な献身も相手に支配されたいのであれば受け入れ流されてしまえば良い。
だがそんな偏った愛情表現に付き合うつもりも周りが巻き込まれるのも雪十は望んでいなかった。
「愛している。お前が欲しい。お前以外要らない」
はぁっ、と深いため息を一つ付くと雪十は片膝を立てて座り直した。
全裸でひざまずく憧燿の姿に「誰にも見せられないな」と考えながら彼の髪を一束引っ張った。
「分かってるよ」
「応えてはくれないのか?」
珍しい憧燿の反応に雪十は一瞬驚きそして笑ってやった。
「言葉にするのは苦手なんだよ。代わりに体張って応えてやってるだろう?それで我慢しろ」
不満を残しながらも受け入れる憧燿に雪十は彼の顔を覗き込んだ。
「脱いでヤろうぜ?」
雪十からの誘いに憧燿は素直に頷いた。
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