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憧燿の舌先がねっとりと雪十の耳を舐め上げるとそっと耳元で何かを囁かれる。
すると雪十は素直に両手首を揃えて前に手を出した。
右手で胸の突起を摘まみ上げながら、左手で髪を結ぶ赤い紐を引き抜くとその紐が生き物のように雪十の手首を拘束する。
憧燿の言霊によって両手を縛られて雪十は耐えられずに涙を零して訴えた。
「イかせろ!イかせろよっ、憧燿、んぁつッッ、ぁあ、んっ。はぁーッッ」
頬を濡らす雪十の涙を口をすぼめて吸ってやる憧燿だったが彼を責める両手と下半身の動きに容赦はない。
「お前の望みに応えてやりたいがこの間、約束をしただろう?」
「約束?っっーんぅ」
「依頼の後は一回しかしない、と」
憧燿の言葉に雪十はそういえば、と思い出した。
憧燿とのSEXそのものは良いのだが、彼の要求のままに応じていたら自分の身が持たないことを雪十は常々感じていた。
だからある時、提案したのだ。依頼の後のSEXは一回まで。
依頼のほとんどが体力を使うものだったし、体を張るのはいつも自分なのもパターン化していたのでそこの部分も引き合いに半ば強引に憧燿に承諾させたものだった。
憧燿が不服に感じていたのは分かっていたがまさかこんな形でやり返されるとは雪十も思っていなかった。
「これが今回の一回とするなら簡単には済ませてやれない私の気持ちも分かるだろう?」
その言葉と同時に、雪十は一瞬、外が光ったのに気づいた。
山の頂上にあるこの廃墟に向かっている依頼人の車のヘッドライトが何かに反射しただろうことを瞬時に悟ると雪十は観念した。
「帰ったら朝まで付き合ってやるから今すぐイかせろーーッッ!」
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