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やっぱり家はいいな。
実家を出て二年になるけれど、やっぱり俺のホームはここなのかもしれないなと思った。
ほんの二カ月弱の入院生活だったけれど、手術、合併症、リハビリ……
言葉じゃ簡単に表せないくらいの苦痛の日々だった。そして、治療はまだまだ続く。
抗がん剤治療だ。
抗がん剤の内服薬を一日二回で四週間服用、そして二週間の休薬。この六週間を一コースとして、これを四コース続ける。
だから、最低でも半年は治療が続き、その間は吐き気や腹痛などの強い副作用との闘いだ。
そして、その治療に耐え抜いたとしても、完全に再発を防止できるわけじゃない。
俺は、これからもずっと、病気の再発に怯えながら生きていかなくちゃならない。
治療をすること、命にしがみつくこと、決めたのは俺だ。
どんなに苦しくても、挫けそうになっても、俺は俺の人生を諦めないと決めたんだ。
俺を必要としてくれている大翔の「どこにもいかないで」に精一杯、応えてやりたいと思ったから……。
それでも正直、決意が揺らぎそうになる程の苦痛に襲われて、何度も何度も挫けかけた。だけど、そんな俺を励ましてくれたのは、やっぱり大翔だった。
下手くそなイラスト、大翔の近況、俺が病気と闘っていることをカッコいいって、誇りに思うって……。
"頑張れ"なんて安易な励ましの言葉は一切なくて、大翔の俺のことを慕ってくれている気持ちがストレートに伝わってきたんだ。
待っていてくれる人がいる。
ただそれだけのことが、このやせ細った体に闘志を宿させた。
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