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「おいおい、最近スマホのアプリに課金してるってまじかよ?」
そんな会話が聞こえてくる。
「ああ、なんか『異世界へようこそ』っていうゲームらしい」
「は?何それ?」
「いや…俺もよくわかんないんだけど…なんか面白いらしいよ」
「ふ~ん」
その会話を聞きながら、俺は思った。
『あ、これ俺じゃん』
異世界転生を何度も繰り返して、ハーレム状態にするのがこのゲームだったw。
「ね?面白いでしょ?」
目の前の女が俺に言う。
「ああ、めっちゃ楽しいわ」
俺は適当に相槌を打った。
でも…こんなゲーム…つまらないな…とこの時は俺は思ったのだった。
『異世界へようこそ!』
そんなアプリが流行っているらしい。
いや、流行っているというよりかは、俺のスマホにいつの間にか入っていたのだ。
「なんだこれ?」
彼女が集めた個人情報がすべてゲームの中で拡散されていた。
当然、彼の個人情報もすべて、『異世界へようこそ!』のゲームマスターがリアルな人間に集めさせた事だった。
「さってと…今度は誰のデータを集めようかなww」
しかし、まさか自分の彼氏が『異世界へようこそ!』をダウンロードして、ゲームの中の世界でハーレム状態になっているとは思わないだろう。
「ねえ」
俺は声をかけてきた男に返事をする。
「なんだよ?」
「このゲームって知ってる?」
スマホを見せながら言う男。
「知らん」
俺は嘘をついた。
だって、これは…彼女が作ったんじゃない…俺が作ったゲームなのだから。
そして、ゲームマスターもこの俺だ。
このゲームの中にあるデータを集めさせたのもうまくいったw
自分で作った割には、よくできたゲームだ。
我ながら自画自賛…このアプリは面白いな…。
『異世界へようこそ!』
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