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曲がり角から急に車が飛び出してきた。赤のポルシェだ。かっこいいな〜。って思ってる場合じゃねぇ!!
ポルシェはノーブレーキで俺に突っ込んでくる。俺は慌ててブレーキをかけてポルシェから逃げようとするものの、自転車のハンドルは言うことを聞かない。
ポルシェと俺は衝突した。グシャッとかガチャーンとかすごい音が耳に響いた。普段の生活じゃ聞かない大きな音に驚いてしまう。
俺の体は宙をふわりと舞っていた。眼下には自転車がぶつかったところが大きく凹んだポルシェ。運転手は、こんな衝突事故が起きたというのに車から出て来ない。
俺、飛んでんなって思ってたのは一瞬だった。次の瞬間には地面に強く叩き付けられていた。口から呻き声が出て、身体中に痛みが走る。
(痛い……誰か……)
体をヌルリとしたものが伝っていくのを感じる。俺、大怪我してんのかな……。雲一つない青空がだんだん霞んで見えなくなっていく。
「太郎!なんて可哀想な……。ワシが神様に頼んで転生させてやるからな!」
何だか変な声が聞こえたな。でももう目を開けることはできない。こうして、鈴木太郎の人生は呆気なく幕を閉じた。
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