村人、勇者になる

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抱っこされた時に見た家具なんかは、現代で見知ったものじゃなかった。女の人の服装も現代というよりは中世ヨーロッパで着ていそうな服だったし、異世界っぽい。あとゲームみたいなモンスターいるし。 (マジか〜……。どうせ転生するなら現代日本がよかったんだけど) そう思ったものの、自分にはどうすることもできない。とりあえず第二のジョンとしての人生スタートを受け入れることにした。 ジョンとして生きて早十六年。色々あったけど、俺はこのミナミナ王国の山中にある小さな村で平穏に暮らしている。 (もう前世で死んだ年と同じになったのか……) 両親と畑仕事(俺は農民の息子として生まれた)をしていた時だった。隣の家に住む友達のアイザックが「ジョン〜!!」と大声を出しながら走ってくる。 「アイザック。そんなに慌ててどうしたんだよ?家にネズミでも出たか?」 「違ぇよ!んなことでお前のところに来るか!村長がお呼びだ」 「村長が?」 俺ではなく父さんと母さんが畑仕事の手を止め、聞き返す。アイザックは真剣な顔で首を縦に振った。
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