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説明を求めると、王家からの使者はメガネをクイッと指で上げてから話し始めた。
「ここ数週間、ミナミナ王国をはじめ、多くの国の宝冠が魔王によって盗まれているのです。あなたは勇者として魔王が集めた宝冠を取り戻すのです!」
「俺、剣術の才能ないんですけど……」
「大丈夫じゃろ。お前はこの村ーーーいや、この国1番の豪運の持ち主なのじゃからな!勇者としてうまくやれるじゃろう」
村長が話に割り込んでくる。その隣で王家の使者がうんうん頷いている。村長がペラペラと話し出す。
「お前は食中毒が村で流行っても一人だけかからなかったし、雷に打たれようが、山賊が村に来ようが、その豪運で切り抜けてきたではないか。期待しておるぞ」
いつの間にやら役場の周りに親を含む村人が集まっており、「この村から勇者が誕生した!」と興奮気味に言っている。ああ〜!これ断れねぇやつじゃん!
こうして俺は、ボロボロの盾と錆びまくっている剣を片手に世界の果てにある魔王城へと向かうことになったのだ。
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