希望はいつも光の中に

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 チェシリスにとっての最初の問いは、ここはどこか? ではなかった。私の中には、誰かがいる? だった。  カタコンベの広間にある祭壇前で、蹲っているチェシリスの頭の中では、いつの間にか、小さな声がずっと響いていた。  最初は、鼻の曲がるような腐敗臭や死臭でのせいだと思った。  その次は、静かに忍び寄るかのような恐怖のせいだと思った。  でも、この声は、どこかで聞いた? という。  問いもチェシリスにはあった。  小さな声は、自分をバンヒルと名乗っていた。  その名前だけが、最初は頭の中で鳴り響く。  バンヒルとは、ここの国を統治していた王族の親衛隊の中にいた。  今は亡き有名な隊長の名だ。    
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