4人が本棚に入れています
本棚に追加
チェシリスにとっての最初の問いは、ここはどこか? ではなかった。私の中には、誰かがいる? だった。
カタコンベの広間にある祭壇前で、蹲っているチェシリスの頭の中では、いつの間にか、小さな声がずっと響いていた。
最初は、鼻の曲がるような腐敗臭や死臭でのせいだと思った。
その次は、静かに忍び寄るかのような恐怖のせいだと思った。
でも、この声は、どこかで聞いた? という。
問いもチェシリスにはあった。
小さな声は、自分をバンヒルと名乗っていた。
その名前だけが、最初は頭の中で鳴り響く。
バンヒルとは、ここの国を統治していた王族の親衛隊の中にいた。
今は亡き有名な隊長の名だ。
最初のコメントを投稿しよう!