ぼくの消えた日

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 当然、このまま炎によって、バンヒル自身も焼かれてしまう。  今の胴体だけでは、どうにもならなかった。  けれども、バンヒルはトンネル内で観たキリスト教聖堂で、一人の女性と出会ったのだ。名をチェシリスといった。  バンヒルはこれで既に助かっていたのだ。  燃え盛る炎も関係なく。  身を焦がす死すらも関係ない。   炎によって、焼けただれた目すらも見えることはないが。   しかし、バンヒルの耳にはいつまでも軽やかな音楽が鳴っていた……。
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