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2.2 減量法
「あら、奥様お久しぶり」
佐藤さんは、久しぶりに会った友達の山本さんの奥さんに挨拶する。
「あら、佐藤さんの奥様、お久しぶりです。お元気にしてました」
「ええ、お陰さまで。ところで山本さんの奥様、ちょっとお痩せになったのではありませんか」
「あら、分かります。そうなんです」
「ええ。ところで以前はあれほどエステなどに通っておられましたが、痩せなくてと、ぼやいでおりましたが、なにかいいダイエット方法でもみつかったのですか」
「そうなんですが。いい方法といいますか、なんといいますか」
山本の奥さんは少し戸惑ったように言いよどむ。
「奥様、何かいい方法があったのなら、あたくしにも教えていただけません。あたくしもこの頃太ってしまって、近頃はうちの人に見向きもされず、あっちの方もすっかりご無沙汰で」
「あらら、そうですか、それは大変ですね。そうですね、ほかならぬ佐藤さんですからこっそりお教えしますが、でもここだけの話にしてちょうだい」
「あら、いいですよ。大丈夫、口は堅い方ですから」
「あのね、先月うちの家政婦さんが急に辞めてしまったの。それで新しく見えた方、料理がへたくそで、とてもまずくて食べられないのよ。すっかり痩せてしまって」
「あらら、それはお気の毒に。辞めさせればいいのに」
「ええ、そう思ってますが、あと五キロ痩せたらね」
「そうでしたか。それではその時はうちに紹介していただけないかしら」
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