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2.4 うぬぼれ
美人で評判のレジ係のキャサリンが、帰りがけに店長の席に寄る。
この店にはキャサリンが目当てで来る客も多く、若い男はいつも食事を終えて帰る際、レジでお金を払う時に必ずキャサリンをデートに誘っていた。それは、毎日10人はくだらないとその上司は思っていた。
「どうしたい、キャサリン、そんな暗い顔をして。何か悩みでもあるのかい」
「‥‥‥」
キャサリンは、沈黙して何かを考えているように見えた。
「あたし、辞めさせていただこうと思って」
しばらくしてようやく口を開くキャサリン。
「何だって、辞めるだって、なんでまた急に。何かあったのかい」
「ええ、それなんですが、あたしもすっかり年をとってしまって。この頃誰もあたしをデートに誘ってくれないんです」
「そうかな、そんなこともないとは思うが」
店長は、キャサリンが辞めたら店の売り上げに響くと思うと、何とかとどまってもらおうと引きとめる。
「そうですか。店長は男性だからこのさみしさは分からないでしょうが、先々月は、いつも8人はデートに誘ってくれたんですが、でも今週はめっきり。昨日なんてたったの4人なんですのよ」
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