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『貧乏神と福の神』
落語に貧乏神と福の神という話があったと記憶します。おそらく本来の演目ではなく「まくら」だったと思います。
どういう話だったか。こんなものだったと思います。少しもHなところはありませんが、小咄の一つとして披露させていただきます。
太郎は、なにかというと嫌がらせばかりしてくる吾助が好きでなかった。たまにはこちらから仕返しをしてやりたいものだと思っていた。ちょうどその時、向こうからその吾助がやって来た。
「おい、貧乏神、いつもどこをほっつき歩いてるんだい」
早速、太郎は、嫌味な言葉を吾助にぶつける。
「お、太郎じゃないか。ちょうどいいときに。今からお前のところに行こうと思っていたのさ」
とやられる。
何も言い返せず、悔しい思いをした太郎は、今度あったらその時こそやり返したいものだと考えていた。
二日して吾助にばったり会った太郎。待ってましたとばかり、
「おい、福の神どこに行くんだい」と心にもないおべんちゃらをいう。
するとすかさず、「おや、太郎じゃないか。今ちょうどお前の家から出てきたところだ」と言い返される。
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