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2.9 結婚相手
「おい、吾助、そういえば彼女とはどうなった」
久しぶりにあった友人から、吾助は彼女とのことを聞かれた。
「うん、とってもうまくいってるよ。そうだな、彼女ちょっとぼくの収入に不満があるようなんだけど、今度昇給するし、大丈夫だろう。来週には婚約ということになることだろう」
吾助は、嬉々として友人に告げる。
「そうか、良かったな。結婚式には招待しろよ」
「ああ、もちろん」
そういって、別れる。
三か月ほどしてその友人にばったり会った吾助は聞かれる。
「おい、吾助、彼女とは婚約したんだろう。それで式の日取りは決まったかい」
「うん、それが」
吾助は、何だか歯切れが悪く、言いよどむ。
「吾助、どうした、彼女とはうまくいかなかったのかい」
「いや、そういうことじゃないのだが、そういうことになるのかな」
「なんか、はっきりしないな。お前、金持ちのおじさんがいることを打ち明けなかったのかい。おじさんは独身で、もちろん子供はいないし、もしものことがあれば遺産がもらえるとでも教えれば、どんな娘でも一発だったろうに」
「それは、もちろん教えたさ。それが」
「で、どうしたい」
「いや、もうすぐ彼女は、俺のおばさんになるのさ」
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