2.とかく女という生き物は

9/27
前へ
/112ページ
次へ
2.9 結婚相手 「おい、吾助、そういえば彼女とはどうなった」 久しぶりにあった友人から、吾助は彼女とのことを聞かれた。 「うん、とってもうまくいってるよ。そうだな、彼女ちょっとぼくの収入に不満があるようなんだけど、今度昇給するし、大丈夫だろう。来週には婚約ということになることだろう」 吾助は、嬉々として友人に告げる。 「そうか、良かったな。結婚式には招待しろよ」 「ああ、もちろん」 そういって、別れる。 三か月ほどしてその友人にばったり会った吾助は聞かれる。 「おい、吾助、彼女とは婚約したんだろう。それで式の日取りは決まったかい」 「うん、それが」 吾助は、何だか歯切れが悪く、言いよどむ。 「吾助、どうした、彼女とはうまくいかなかったのかい」 「いや、そういうことじゃないのだが、そういうことになるのかな」 「なんか、はっきりしないな。お前、金持ちのおじさんがいることを打ち明けなかったのかい。おじさんは独身で、もちろん子供はいないし、もしものことがあれば遺産がもらえるとでも教えれば、どんな娘でも一発だったろうに」 「それは、もちろん教えたさ。それが」 「で、どうしたい」 「いや、もうすぐ彼女は、俺のおばさんになるのさ」
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加