2.とかく女という生き物は

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2.11 どこで誰と使う? 吾助の甥っ子の次郎が、大学に入学して隣町に下宿することになった。 吾助が卒業した大学ということもあって、次郎の母親からも何かと相談にのってやってくれと頼まれていた。 「おじさん、いつもありがとうございます。おじさんにいろいろと教えていただき、学校のことも、東京のことにも大分慣れました」 今日は夏休み最初の土曜日で、次郎が吾助のところに遊びに来ていた。 「そうか、良かったな。これからもいろいろ教えてやるから、分からないことがあったら、遠慮なく聞きなさい。頑張るんだぞ」 吾助はおじさん風を吹かせて、勢い込んで次郎に告げる。 「はい、ありがとうございます。それでおじさん、学校のことではないのですが、実は最近彼女ができまして」 「お、なんだって、彼女か。そりゃやるな、次郎。それで何か心配事でもあるのかい。ま、人生の先輩としてな、学校のこと以外でも何でも相談に乗るぜ」 「ほんとですか、ありがとうございます。実は彼女はぼくと同い年で、結婚なんて全く考えてなくて、もちろんぼくも結婚なんて早いとは思ってます」 「おっと、そういうことか、みなまで言うな。あれのことだな。そうだよな、大学生の身分では生活できないだろう。その上、子どもなんかできたら身動き取れなくなるな」 次郎は、その言葉を聞いて黙って頷く。 「そうだな、それにはあれが一番だ。君はまだあれの使い方も知らんだろう。わしが教えてやろう。幸い妻は、昨日から友だちと二泊で旅行に出かけて留守だ。今は君と二人だけの男の世界だからな」 「あ、そうですか、ありがとうございます」 「よし、そうと決まれば、あれをもってこよう。確か、この間夜中にコンビニに買いに行かされて、まだ10個は残っているはず」 吾助はそう言いながら、寝室に引っ込む。 しばらくして引き出しを開けるような音がしていたが、見つけたようだ。 「おかしいな、箱はあるんだが、中身が2つしかない。あいつ持ってでかけたのか」という声が漏れてきた。
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