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２．１９ 不用品
仕事が思いのほか早く片づいたので、妻の好きなケーキを買って帰宅したが、妻が見当たらない。
おかしいな、どこに行ったんだろうと思って、念のため２階の寝室をのぞいたら、見知らぬ男と一緒にベッドにいるではないか。事を荒立てないように、その場を慌てて離れ、見なかったことした。
その夜、妻に問いただした。
「どういうことだ」
「ええ、あの人ね、生活に困っているようなの。昨日も来てね、何か食べ物はないかというので残り物をあげたの。喜んで食べていたわ。帰りに何かいらないものないかと言われ、寒そうにしていたのであなたが着なくなった古いコートをあげたの」
「うむ」
「そうしたら、今日も来たの。同じように何かいらないものないかというので、あなたの古い靴をあげたの。ぴったりだと喜んでいたのよ。今日も残り物だったけど食事をあげたの。帰りがけに『ありがとうございます。何かほかに旦那さんがもう使わなくなったものがありますか』というので、ああなったのよ」
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