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2.21 新婚旅行先
株の投資でひと財産築いたジョージ。だが女性には縁がなく72歳まで独身で過ごしてきた。
その年になって、残りの人生が寂しくなったのか、ある時若い娘のキャロルに恋をした。
そして思い切って告白した。
「キャロル、わしと結婚してくれ。もちろんわしが年をとっているのは承知しているが、君を幸せにすると約束する。もちろんわしの金は自由に使ってよいし、もしわしが死んだときには、財産はすべて君のものだ」
その娘には好きな男性がいたが、財産という言葉に心が動く。
そこでキャロルは、「ジョージさん、あなたが結婚してすぐに亡くなってしまっては、残されたあたしがすぐに寂しい思いをしてしまうわ。結婚してもいいけど、体はどうなの。どこも悪いところはないでしょうね」と聞く。
「おう、わしのことを心配してくれるのか、キャロル。君は何とやさしい娘さんだろうか、ありがとう」
「いいえ」
キャロルは内心、この人どこも悪いところはないのか。結婚するのやめようかと思う。
「キャロル、わしは元気だ。この通り。でもな、たった一つだけ心配なところがあるのだよ」
「え」
「うん、どうやらわしには夢遊病という病気があるらしい。夜、自分では気づかないのだが、どうやらどこかにふらふらと出歩くことがあるようだ」
「そうですか。でもあたしがいつもそばにいるから安心してくださいね」
キャロルはしめたという思いは隠して、そんな言葉を口にする。
「では、結婚してくれるかい」
「ええ、いいですよ。新婚旅行はどこか二人きりになれる静かなところにしましょうね。あたしがいい所見つけます」
キャロルは、その晩、高い崖の近くにある小さなホテルに予約を入れた。
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