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1.4 退学処分
エブエブ幼稚園の庭でバトミントンをしていた園児たちが、「せんせーい」と呼ぶ。
「あら、どうしたの太郎くん」と洋子先生が寄ってくる。
「あのね、せんせい、羽根が屋根にのっかってしまったの。せんせいとって」
太郎が先生にお願いする。
「あら、そう、困ったわね、ちょっと待っててね」と言って、先生は脚立を持ってきて、のぼりはじめた。
「あ、せんせい、スカートのなかが見えます」
脚立の下で脚を押さえていた花子ちゃんが、上を見上げていう。
「なんということを。何が見えたって。そんなことを言う子は、明日は園を休んでね」
そうきつく言い返す。
そうするともう一人の次郎くんが、「せんせい、ふとももがちらついてます」と告げる。
「なんですと。そんなこと言う子は、一週間、園にきてはいけません」
先生が屋根に手を伸ばし、羽根をとろうとしたとき、一人の男の子が、脚立から手を放し、「せんせい、ぼくは帰ります」という。
「どうしたっていうの。太郎くん」
「ええ、せんせい。ぼくはとんでもないものを見てしまったような気がして。これではもう園にくることなどできません」
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