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1.5 困った問題
「社長どうされました」
朝からなんだか浮かない顔をしている社長に、秘書が声をかける。
「ううん、どうにもこうにも」
「何か、お困りのようですね。私で何かお役に立てれば、何でもお申し付けくだい」
「うん、いつもそつなく何でもこなしてくれる君であっても、この問題はどうにもならんかな」
「そうですか、それはそれは。でもなんだかお話していただくことで、少しは気が晴れるかもしれません」
「そうか、そうだな。実はな、うちの息子がお手伝いの女性を妊娠させてしまったんだよ」
「え。なんですって。それはそれは。でも社長ちょっと待ってください。確か息子さんまだ五歳、いや六歳ではなかったですか」
「うむ、そうだ」
「そうですよね。お子さんにそんなことできる訳ないでしょう」
「うむ。それがどうやらこの間、わしの机の引き出しを開けたようで。中に入っていたあれに針でもさしたのか、穴をあけて遊んだようなんだよ。それを知らないでわしが使ってしまってな」
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