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こんなことがあっていいものか。
ずっとずっと好いていた彼と夫夫になった途端このザマだ、彼の横でベタベタと引っ付くあいつ。后妃としてなにもやらないくせに、その愛は一心に受け、私が何かしようものなら彼や、彼の側近たちが黙っていない。なんど、私の背中にあの熱い痛みが走ってたか。
そしてついに
「聖王の殺害容疑で、処刑する!!」
あらぬ罪を着せられた
全てはあの、男。聖王と呼ばれるあいつの仕業。こんなことがあっていいのか?公爵家の末息子として生まれ、美しさは王都で一番と呼ばれる、この僕が?
否あってはならない。
「なあ。皇妃よ。そなたのその罪永遠に許されることはないだろう!!」
首の切られる音は聞こえない。
痛みさえも感じない。あるのは絶望だけ。いや、復讐心。もし生まれ変わることができたのなら、あの、男も、彼を好いたあいつらやその大切なもの全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て
壊してやる。
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「あの子が殺されてしまった」
「これでこの王都の加護も尽きるのか」
古びた洞窟の中で、薄汚い二人の男は共に言う。
しかしながらその瞳は輝いていた。その美しさは全ての宝石を詰め込んだようだ。
「これからどうなるのだろうね、あの愚かな者達をねぇ、ミルカ。絶望した聖なる魂は神のもとで浄化されると思うかい?」
男の一人は闇を飲み込み、真っ黒な銅像を作り上げた。そして、もう一人の男にその像を渡す。
洞窟の闇が消えたせいか、洞窟内は明るくなっている。
「どうだろうね。アルカ。彼の復讐心は計り知れないだろう。聖なる魂も塗りつぶす、絶望は浄化するのにも時間がかかる。第一、彼は神々の寵愛を一心に受けた子だ。聖なる神も邪の神もあの子を愛し慈しんでる。そんな子の復讐心をそのままにすると思うかい?」
もう一人の男はその像に光を宿し、小さな、簡素な祭壇に置いた。そして、闇と光を宿した像を壊した。
「おいおい。そんなに怒るなよ、幸運なことにあの子の魂は死んでない」
「そうだね。ああ、そうだあの子を神々に取られる前に僕達の物にしちゃえばいいんだ」
彼らはうっとりとした顔で呟く。
そして薄汚かった男達は、ニヤリとお互いの顔を見合わせ、数百年ぶりにその洞窟から出た
「さあ、力も蓄えた。」
「やろうか」
こうして一つの世界は消えていく。
神々はその異変に気が付きながらも、何も手を出さない。彼らを止めるものは何もない。神々がその結果を望んでいたからだ。直接的な介入ができないのがもどかしかったほどに。
「神々もどうやら、応援してくれてるみたいだ。力の末端を分けてくれるほどに」
「そうだね、ふふふ。彼が来るのをずっと待っていたけど、こっちから空いに行ってみようか。」
その壊れゆく世界を眺めて、彼らは言う。
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