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自分のマンションについて、何年も住んでいたのに、まるっきり違う感じがするのはなぜだろう。
そんな事を考えながら、悠斗の歯ブラシとマグカップと、それから着替えを集めた。
これで全部かな。
紙袋に詰めてみるとかなりの量になった。
それを持って悠斗のマンションに来た。
インターフォンを押すと悠斗が開けてくれた。
髪はボサボサだし髭も剃ってないみたい。
「千晶あの、、、」
「謝ってくれなくていいよ」
これと紙袋を渡し、鍵も渡す。
「私のもらって帰るね」と洗面所、キッチン、寝室と動く後ろを悠斗は付いて来る。
「ねぇ、私に見つからなかったら、このまま私とも彼女とも付き合ってたんだよね?」
そう聞くと黙って俯いている。
「3ヶ月前あたりから、おかしいなって思っていたの。その訳がわかって良かったわ」
「あの千晶」と言いかけた悠斗を制した。
「もういいよ。前澤さんと仲良くね。今まで楽しかった。ありがとうね」そう言って玄関に向かった。
下駄箱の上にあるキーケースから、私のマンションの鍵を抜き取った。
あ、そうそう忘れてた。
バックの中から小さな袋を取り出して悠斗に渡した。
悠斗は、受け取った中を見て大きなため息をついた。
「さようなら」と言ってドアを閉めた。
後ろは振り向かない。
そう決めたんだから泣かないぞ!
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