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だがそんな俺の不幸を打ち消すほどの人が現れた。それが澪だったんだ。俺が教育係になった時、澪はにっこり微笑んだ。可愛い人だなと綺麗な人だなと思ったし、仕事のミスをカバーする度泣きそうな顔で『ありがとうございます、大槻先輩』と言われると胸がくすぐったかった。そして歓迎会の日、今まで酒を飲んだことがないと話していた澪の様子を見に行くと酒で気分が良くなったのか、会社より色っぽい顔付きになっており俺はドキッとした。『祥吾さんが介抱してくれるんでしょ?』なんて言われた瞬間、『ああ、好きだ』と気持ちが暴走し車へ連れ込んだ。甘い誘惑に勝てず、俺は澪とホテルへ直行し風呂も浴びぬまま彼女を抱いた。
初めて抱いた女、夢中だった。気持ち良くて何度も体を重ねた、何度も欲を出した。『祥吾さん、祥吾さん』と澪に名を呼ばれる度幸せを噛み締めた。『ああ、澪が欲しい。結婚したい。澪を妻にしたい』そんな強い気持ちが起こる一方で篠瀬との離婚を考えると頭を悩ませるしかなかった。それでも澪を抱くと嫌な事を忘れられた。
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