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ところが、ある小説の話題になった途端、急に二人の会話が途切れた。話題に上ったのは『50円玉20枚の謎』という作品だ。この小説は、ミステリーファンの間でよく知られており、ある作家の実体験をもとにした一風変わった作品だ。物語の核心に迫る様々な解答が提示されているため、読者の間でもしばしば議論になる。
「やっぱりお前も思い出せないか?」と、片方の男が相方に問いかけた。
「うーん、無理だな。どうしても最後のオチが思い出せない」もう一人が悔しそうに答えた。
思わず私はバックミラー越しに二人の顔を見てしまった。彼らの言葉に反応してしまった自分がいた。「もしかして、『50円玉20枚の謎』の結末が思い出せないのですか?」と、私は不意に口を開いた。
二人は驚いた様子で顔を見合わせ、少しの沈黙の後、片方の男が言った。
「運転手さんもミステリー好きですか? それなら、この話、思い出せるかもしれませんね」
「覚えているかどうか自信はありませんが、やってみます」と私は答えた。
男たちはうなずき、話を再開した。
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