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「俺にこれを着ろと?」
「うん。似合ってるし、ホストにしか見えないから。」
俺は店に着くなり、ケイトの着せ替え人形と化していた。
そして、10着目のこのスーツでやっと彼のゴーサインが出た。
「さとしさんは、ホストになりきって。俺はさとしさんに入れ込んでる客って設定。」
「分かったような、分からないような…」
「その見た目なら、何とかなる。俺もフォローするから。」
「ありがとう。行くか。」
「うん。」
俺はケイトの言葉を信じて、レイの元へと急いだ。
「ここから近いのか?」
「うん、ほら、もっとこっち寄って。」
「あ、そうだった。」
俺はケイトの肩を抱いた。
「どう?」
「わるくないね。」
5分くらい他愛もない会話をしながら歩いていると、ケイトが雑居ビルの前で立ち止まった。
「このビルの地下一階。ついてきて。」
「ケイトはここに来たことあるのか?」
「うん、何度も。あいつが俺を殴ったあと、ここに連れてきてたから。」
「そうか。」
「さとしさん、また刑事の顔になってる。」
「わるい、慣れなくて。」
「よし、ここからが本番だよ。いい?」
「ああ。」
俺の返事を聞いたケイトは、目の前のドアを開けた。
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