4

5/6
前へ
/31ページ
次へ
「こんにちは。レイの容態どう?」 「あの日から変わらずだよ。」 奥の部屋から、白髪混じりの男性がやってきた。 「おい、ケイト!素性の分からない奴を連れてくるなとあれほど言ってるだろう!」 「この人は、さとしさん。歌舞伎町でホストしてる。俺の一番のお気に入りだよ。」 「全く、お前って奴は……」 男性は頭を掻きながら、溜息をついた。 「警察に疑われてる奴が出歩いてていいのか?」 「俺の容疑は晴れたんだよ。さとしさんのお陰で。なんで、じじぃが事件のこと知ってるのさ。」 「俺だってニュースくらいみる。それに、長年この仕事をしてると色んな噂が耳に入ってくるんだよ。」 俺は2人の会話に耳を傾けた。 ここにいる全員に、小柳を殺す動機がある。 先入観を捨てて見定めなければならない。 「さとしさん、顔が怖いよ。」 「あ、わるい。」 「あははっ、それでよくホストがつとまるな。確かに、見た目は完璧だが。」 すると、男性は俺を至近距離で見つめた。 「ほぉ、なかなか肝が据わってるじゃないか。」 「ありがとうございます。」 「場数を踏んだか?」 「ご想像にお任せします。」 「気に入った。揉め事があったらここに電話を掛けな。」 「ここは?」 「大人の秘密基地とでも言っておこうか。そこの会員証だ。」 俺は男性から、真っ黒のカードを受け取った。 「さとしさん、俺、お腹空いた。」 「そろそろ行こうか。」 「うん!じじぃまた来るね。レイの事よろしく。」 「分かったよ。俺はもう寝る。早く帰れ。」 俺とケイトは男性に急かされながら、その場をあとにした。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加