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5
俺は自宅マンションに到着すると、オートロックを解除し、エレベーターに乗った。
「早く乗れよ。」
「うん。」
俺に促され、ケイトもエレベーターに乗った。
「いい所に住んでるんだね。」
「だとしても、金は持ってないぞ。」
「ふふっ、俺がヒモにして?って言うとでも思った?」
ケイトが本気か冗談か分からない笑みを浮かべた。
思い返せば、出会った時からそうだった。
彼はどこか危うい。
だから、俺は彼を放っておけないのかもしれない。
俺の自己満な正義感に過ぎないが。
俺は玄関の鍵を開けると、ケイトを部屋へ招き入れた。
「お邪魔します。」
「荷物はとりあえず、そこ置いて。」
俺は部屋の入口で突っ立っているケイトに言った。
「ね、さとしさんの謹慎はいつとけるの?」
「さぁ。とければいいが、このまま、刑事に戻れなかったりして。そんなことより、片付けるぞ。」
「何冷静に言ってるのさ!俺のせいじゃん。」
「なんでケイトが怒るんだよ。」
「だって……」
ケイトは俺の手を掴んだ。
「ケイトはなんでそんなに必死なんだ?自分のことでもないのに。」
「それは、さとしさんが……」
「ん?」
「だから、心配なんだよ。」
「ケイトに心配されたら世も末だな。」
「もう……さとしさんの鈍感。」
「さっきからどうした?」
「どうもしてない。寝る!」
「ならせめて、シャワーを浴びろ。」
俺はケイトにバスタオルを投げた。
「バスルームは突き当たりを右だ。」
「分かった。」
そういうとケイトはその場を去った。
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