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「ね、みて?」 着替えを終えたケイトが、俺が座っているソファーの隣に腰掛けた。 「俺の服、大きかったな。」 「さとしさんの匂いがする。」 「洗濯してあるぞ。」 「それでもする。」 「そもそも、俺の匂いってなんだ?」 「うーんと、うっすら石鹸のにおいがする。あ!そういえば……」 ケイトは何かを思い出したように言った。 「警察に行った時、嗅いだことあるような匂いがした気がする。一瞬だったけど。なんだっけ?えっと……」 俺は必死に思い出そうとしているケイトの様子を見ながら、闇医者に渡された謎の会員証をスーツのポケットから出した。 すると、ほのかに花のような香りがした。 「あー!これだ!さとしさん、それ貸して。」 ケイトは俺から会員証を受け取ると、少し表面を擦り、匂いを嗅いだ。 「間違いない。この匂い。警察署でも嗅いだ。」 「ってことは、俺の他にも警察関係者の中に、この会員証を持っている奴がいるってことか?」 「その可能性はある。」 「一体、何の会員証なんだよ。」 闇医者は、〝大人の秘密基地〟と言っていたが、その実態は謎だった。 「ケイトは何か知ってるのか?」 すると、ケイトは一瞬、言葉を詰まらせてから、重い口を開けた。 「裏カジノって噂。さとしさんに話したレオも、ここで借金作って、首が回らなくなって、高城に飼われたって話。」 「なぁ、高城ってさ、テレビにも雑誌にも出てた好感度抜群な敏腕会社経営者じゃなかったっけ?」 「それは表の顔。裏の顔は極悪非道な男。」 俺の知らない事実が駆け巡る。 言えることは、警察も信用出来ないということ。 ケイトの記憶が正しければ、警察内部の人間が裏カジノに繋がっている可能性もある。 この会員証は俺の切り札になりそうだ。
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