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俺はホテルからそのまま仕事に向かった。
すると、そこはいつにも増して騒がしかった。
事件でもあったのだろうか?
「おはようございます。」
「河野、来たか。殺しだよ。有名な会社経営者の遺体が早朝、自宅マンションで発見された。名前は、高城満。58歳。死亡推定時刻は、昨夜10時から深夜0時の間。第1発見者は、社長秘書の小柳歩(こやなぎあゆむ)32歳。重要参考人として話を聞くところだ。」
俺は先輩刑事からの情報を、一語一句聞き逃さないように耳を傾けた。
「そして、河野には被疑者の事情聴取をお願いしたい。」
「承知しました。」
「被疑者はラブホテルにいる所を確保して、こちらに向かっている模様。10分くらいで到着予定だ。と話してたら来たぞ。」
俺は足音のする方を見た。
そして、固まった。
何故ここに彼がいる?
俺は動揺を隠せなかった。
そもそも、俺と1晩中、一緒に居た彼に犯行は不可能だ。
つまり、彼のアリバイを証明できるのは俺しか居ない。
だが、彼と一緒に居たことを暴露すれば、俺が同性愛者だということが組織中に知れ渡る。
正義をとるか、保身をとるか。
そんなこと迷う必要はない。
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