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「はぁー」
俺は警察署の外で、思いっきり伸びをした。
空気が美味しい。
すると、容疑が晴れ、釈放されたケイトが俺の元へ駆け寄ってきた。
「さとしさん!なんで、あんなことを。俺の事なんか放っておけば良かったのに。」
「そんなことしたら、俺は自分が許せないよ。」
俺は今にも泣き出しそうなケイトの髪を撫でた。
「ところで、これからどうするんだ?」
「俺の事なら大丈夫。適当に食べて、適当に寝るので。」
「行くとこないなら、うち来るか?」
なぜ俺はケイトを突き放せないのだろう。
ただのセフレなのに。
「さとしさん、俺を飼ってくれるの?」
「バカか。なわけないだろ。」
「じゃあ、なんで?」
「なんでって、ほっとけないからって...言わせんな。」
「さとしさん、可愛い。」
「で、来るのか?来ないのか?」
俺は再び、ケイトに問いかけた。
「行く!」
「俺の家に住むからには働けよ。」
「家事全般は任せて。それから…...」
ケイトは俺の耳元で囁いた。
「おい/それは頼んでない。」
「でも、俺の役目でしょ?さとしさん、俺以外と寝ないから。」
「お前の頭はえろばっかか。」
「健康な証拠って言って欲しいね。」
「そもそも、パトロンが殺されたんだぞ。怖くないのか?」
「だって、俺はそういう世界で生きてきたから。」
ケイトの表情が一瞬、曇った。
「まさか、さとしさんが俺を助けてくれるなんて思ってなかった。世の中、捨てたもんじゃないなぁって。だから、俺はこれからの人生をさとしさんに尽くすことにした。」
「ケイトの人生もあるだろ?」
「俺のクソみたいな人生はいいんだよ。それよりも、さとしさんを守りたい。」
「俺は守られるほど、やわじゃないよ。」
「そうだといいけどね。」
俺達の関係に名前は無い。
だが、今日くらい手を繋いで家まで帰るのもわるくない。
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