2

3/5
前へ
/32ページ
次へ
「はぁー」 俺は警察署の外で、思いっきり伸びをした。 空気が美味しい。 すると、容疑が晴れ、釈放されたケイトが俺の元へ駆け寄ってきた。 「さとしさん!なんで、あんなことを。俺の事なんか放っておけば良かったのに。」 「そんなことしたら、俺は自分が許せないよ。」 俺は今にも泣き出しそうなケイトの髪を撫でた。 「ところで、これからどうするんだ?」 「俺の事なら大丈夫。適当に食べて、適当に寝るので。」 「行くとこないなら、うち来るか?」 なぜ俺はケイトを突き放せないのだろう。 ただのセフレなのに。 「さとしさん、俺を飼ってくれるの?」 「バカか。なわけないだろ。」 「じゃあ、なんで?」 「なんでって、ほっとけないからって...言わせんな。」 「さとしさん、可愛い。」 「で、来るのか?来ないのか?」 俺は再び、ケイトに問いかけた。 「行く!」 「俺の家に住むからには働けよ。」 「家事全般は任せて。それから…...」 ケイトは俺の耳元で囁いた。 「おい/それは頼んでない。」 「でも、俺の役目でしょ?さとしさん、俺以外と寝ないから。」 「お前の頭はえろばっかか。」 「健康な証拠って言って欲しいね。」 「そもそも、パトロンが殺されたんだぞ。怖くないのか?」 「だって、俺はそういう世界で生きてきたから。」 ケイトの表情が一瞬、曇った。 「まさか、さとしさんが俺を助けてくれるなんて思ってなかった。世の中、捨てたもんじゃないなぁって。だから、俺はこれからの人生をさとしさんに尽くすことにした。」 「ケイトの人生もあるだろ?」 「俺のクソみたいな人生はいいんだよ。それよりも、さとしさんを守りたい。」 「俺は守られるほど、やわじゃないよ。」 「そうだといいけどね。」 俺達の関係に名前は無い。 だが、今日くらい手を繋いで家まで帰るのもわるくない。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加