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「お邪魔しまーす。って、この状態は?」 「最近、仕事が忙しくて掃除が出来なかったんだよ。」 俺は、床に散乱している服を洗濯機に突っ込み、雑誌は部屋の隅に避けて、ひとまず、大人2人が座れるスペースを確保した。 「明日は俺が大掃除しておくよ。洗濯も任せて。」 「ありがとう。」 「でも意外だったな。」 「ん?」 俺はケイトに聞き返した。 「さとしさんは、もっと、几帳面な人だと思ってた。」 「むしろ、逆だな。」 「家具はモノトーンで統一されてるイメージ。」 「ないない。使えればおっけ。家には寝に帰ってくるようなもんだから。」 「自炊は?」 「しない。」 俺は即答した。 「顔はいいのに、家事能力はゼロなんだね。」 「顔はいいってなんだよ。」 「褒めてるんだよ。」 「褒められてる気がしないのはなんでだ?」 「じゃあ、他に得意なことは?」 「記憶力はいい方だと思う。」 「うんうん。」 「だから、1度見た顔は忘れない。」 そう言いながら、俺はケイトの頬にそっと触れた。
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