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2人のやり取りを見ていた景太が、百合の顔を覗き込みながら尋ねた。
「なぁ、俺は?」
期待の込められた眼差しを向ける景太に対して百合は真顔になって答える。
「景太はいつも通りでしょ」
「えー……」
不服そうに唇を尖らせる景太を見て、ルナは笑った。
黒崎ルナ。彼は翔北高校2年生でサッカー部員。どこにでも居る普通の男子高校生。
……ではない。
彼の正体は、悪魔だ。
ルナが魔界から現世の日本にやって来て、わざわざ人間のふりをしているのには訳がある。
それは……日本で修行している大天使の娘を殺すためだ。
人間に不幸を与える悪魔の仕事がどうしても苦手だったルナは、悪魔として劣等生だった。
その結果、ルナの1日の成果は良くて一桁。まだスクールに通っている弟にも劣っている。
そうしているうちに、悪魔王の父から悪魔としての自覚が足りないと冷酷に告げられ、大天使の娘を殺すまで家に帰ることができなくなってしまったのだ。
しかし、それらしい天使も見つからず、殺すことにも気乗りせず、ぐずぐずしていたら1年が経過してしまった。
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