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今日は、何か記念日だとか、誰かの誕生日とか、そういうわけではない。
なのに、古くて狭いアパートの一室で、部屋の片づけをしている。無駄に荷物の多いこの部屋は、とても他人を入れられる場所ではなかった。
何もないのに、張り切って準備している私は、滑稽だと思われるかもしれない。
あと、五分もすれば、チャイムが鳴るはず。
もしかしたら、鳴らないかもしれない、そう思うと心臓の鼓動が早くなる。
早くなることを願っていた。
あれから、十分経っても、チャイムがなることはなかった。
もう、一人になってしまうのではないかと思ってしまった。
捨ててしまうのも勿体ない。それで、溜まってしまった紙皿を見つめていた。
本当は買う必要なんてない。ただ、使用しなかった。使用する機会を失った。そのことが、なんだか縁起悪くて、毎回勝手しまった。
別に集めたかった訳じゃない。ただ、集まってしまっただけだった。
こんなことをしても、私のほしいものは集めることは出来なかった。
思い切って捨てようとしたとき、ちょうどチャイムが鳴った。
もう、約束の時間はとっくに過ぎてるし、どうせ宅配便か何かだろうなと思う。
なんだか哀れだと思いながらも玄関の扉を開けた。
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