山に登る

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 そう決意した山田の心にもう寂しさはなかった。ただ、新しいことに挑戦できるという喜びと期待感で満ちていた。  それからはあっという間だった。元々運動神経の悪くない山田は谷口と柿沼に教われば教わるほどみるみるうちに成長し、2人と肩を並べても遜色ないレベルにまで上達していった。  そして、2人は2人で山田に付き合ってダンスに励み、次第にその実力をメキメキと伸ばしていく。  季節は移り変わり、学年も上がって高校生活最後の夏。ついにその時はやってきた。3人で文化祭のステージに立てる事になったのだ。 「やったな!」 「おうよ!俺ら3人なら出来るよな!?」  柿沼と谷口の2人は喜び合うとハイタッチを交わす。そんな2人を見て山田も自然と笑みがこぼれた。  そして本番。柿沼と谷口の息のあったパフォーマンスに観客は沸き上がり、山田も2人に合わせてステージを縦横無尽に踊り回る。  3人のダンスはそれぞれ違うが観客を充分に魅了した。そんな3人の華麗なるダンス。最後のポーズをビシッと決めると拍手喝采で、その反応に山田を含め3人は互いに顔を見合わせると大きくガッツポーズをした。 「いええええい!めっちゃ楽しい!」 「ああ、最高だったぜ!!」 「だね」  柿沼と谷口の2人は満面の笑みで山田の肩を叩くと飛び跳ねるように喜んでいる。そんな2人を見て山田も思わず笑みが溢れてしまう。そして、心の中で思った。この2人が友達で本当に良かった……と。この2人となら、何でもやれるんじゃないかと。  それから数ヶ月が過ぎ、季節は秋から冬へと変わる頃。  ある日の放課後に3人はいつものように教室に残っていた。 「なぁ!俺さ、ダンスのコンテストに出たいんだけど。一緒にやんねえ?」  そう切り出すのは柿沼。いち早く反応したのは谷口だった。 「いいなそれ。山もでんだろ?」
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