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歪んだ恋情が誘う罠
「やっと手に入った……。この時をどんなに待ち望んだことか、あなたには僕のこの気持ちが分かっていただけますか?」
ベッドの上で軽い寝息を立てている男の逞しく張った肩を指でなぞる。糊の効いた真っ白なシャツのボタンをひとつ、ふたつと震える手で外せば、そこには見事なほどの紅椿の紋様が現れた。
「紅椿……? 刺青――か。なんて綺麗な……! まさにあなたにこそ似合いだ」
恐る恐るその素肌をなぞれば、ズクズクと身体の芯が熱を持ち始める。次第に疼き出す陶酔にも似た感覚に、深く息を吸い込んだ。
「待っていたんだ……。あなたとこうする日をずっと。初めてあなたを見た五年前のあの時からずっと――僕はあなたのことだけを考え、あなたのことだけを想って生きてきたんです。鐘崎……いえ、遼二さん……!」
自らもシャツを脱ぎ、床へと放る。ジッパーを下ろし、生まれたままの姿になって逞しい肢体を見下ろせば、ただもうそれだけで自身の雄はこれ以上ないくらいに興奮して天を仰いでいた。
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