417人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなことより――ねえ、お兄さんたち! ひとつ相談なんだけど」
「――なんだ」
「正直なところ面倒事はご免だけどこの際仕方ねえや。上手くあいつらをこっちに呼んでやるから僕を助けてくんない?」
「助けるだ? ふざけてんのか、てめえ」
「ふざけてなんかないさ。言ったろ? 僕はもううんざりなんだよ! これ以上あの周焔と一緒にいたら、いつまたこんな目に遭わされるか分かったもんじゃない! どうせあんたたちは周焔のことも殺すつもりなんだろ? だったら僕に手を貸してよ」
「手を貸す? どういうことだ」
「いい? 僕はあの周焔の伴侶だよ? あいつが死ねば遺産は全部僕に入ることになってんの! 僕を助けてくれたらそれをちょっと分けてやるよ。どう? 悪い話じゃねえだろ?」
ニヤっと人の悪い笑みを見せた冰に、男たちには迷いが生じたようだ。
「その話、本当だろうな?」
「調子のいいこと言って俺らを騙すつもりじゃねえだろな?」
男たちが乗り掛かってきたところをダメ押しするように冰は言った。
「騙すつもりならもっとマシな嘘を考えるさ! 僕だって自分の命がかかってなきゃ、見ず知らずのあんたたちに金を分けてやろうなんて思うわけないでしょ!」
そんなもったいないこと誰がするかよと苛立ちまでをも見せつける。
最初のコメントを投稿しよう!