山の彼方の昔話

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男(らしき生き物)が長い呪文を唱え終わると、板の中では、また歌ったり踊ったりが始められました。 大勢の若い娘(らしき生き物)が、キラキラ光る小さな着物(身体の半分も隠せていない)を着けて踊っており、ますます賑やかだった。 やがて、じゃじゃーんという派手な音で最後に全員が声を張り上げて叫び、両の手を空に突き上げて、終わった。 その瞬間、森の上空はにわかにかき曇り、大粒の 雨が降り出しました。 大地の渇きを癒す恵みの雨。 「おお!これは 守り神の御技だ!先ほどの歌舞は雨乞いの儀式だったのに違いない!」 「この板は、やはり雨ごいをするための、神様の道具であったのじゃのお」 「恐れ多いことじゃ。ありがたいことじゃ」 白い板は 激しい雨に濡れ、窓からは何も見えず、音も聞こえず、沈黙しています。 人々はその場所に(やしろ)を建て、白い板をご神体として納め、手厚く祀ったのだそうな。 (おわり)
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