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ガッシャーーーーン!
ガラガラガラッーーーー
「ハハッ……ですよねーー」
小一時間かけて試しに積んでみたものの、やはり無理ゲー。
二度と挑戦したいと思わせない、かつクリアできるという期待を微塵も感じさせない鬼畜仕様。相手が鬼だけに。
――賽の河原。
親より先に死んだ子どもが、300km以上ある山路を越えて閻魔大王の居る法廷まで行く道中、三途の川のほとりに位置する河原。
死者の魂が集まるこの場所で、死後の子ども達は親を悲しませた罪を償う為に、仏塔を模した小石の山を作り功徳を積まなければいけない。
既に結構な数の子ども達が到着しているのだが、実を言うと、ここ賽の河原にはスタートから1週間くらいで着く……らしい。通常では。
というのも、他の真面目な子ども達と違い、俺は途中サボりまくっていたから、真偽の程は定かではないのだ。
ちなみに俺の場合は、ここまで到着するのに4週間かかってしまったわけだが……。
いや、だって仕方ないじゃん!
普通に考えて、子どもが途方もない道のりを延々と歩き続けるとか、これもう閻魔様の裁きを受ける前から地獄コースでしょ。
こんなの、母をたずねて進む距離だろ。いなくなったのは母じゃなくて俺だけども。
目的地に超絶カワイイ女の子が待っているならいざ知らず、現実は恐くて厳つい顔のオッサンだなんて、雨天決行のゴミ拾いくらいモチベーション上がらないぞ。
それに、たとえ必死こいて早くここまで辿り着いたとしても、更なる地獄が待っているだけだ。
ここ賽の河原では、午前6時間・午後6時間かけて、ひたすらに小石の山を積み上げ続ける。終わりの見えない状況で毎日毎日、小石を拾っては集めての繰り返し。
何だこのブラック企業も顔負けの仕事量とスケジュール、明治時代の女工かよ。せめて現代の労働基準法くらいは遵守してもらいたいもんだね。
俺より先に河原へ来た真面目な子達なんて、幾度となく石に擦れた手足が無惨にただれて、指先から血が出ているじゃあないですか。
のらりくらりと遅れて登場した俺が、なんだか負い目を感じる程に可哀相な状態だ。いや、別に俺は何も悪くないけどね? だよね?
そんな何日も長時間に渡って重労働を強いられるなんて、どんだけ巨大な石の山を築かなきゃいけないんだよって感じだが、そういうわけではない。
せいぜい身長の半分程度、普通に頑張ったら2時間もあれば余裕で完成する大きさだろう。
それにも関わらず、俺達を子どもながらに社畜化させている諸悪の根源は、今しがたマイストーンマウンテンを盛大にガッシャーーーーンしてくれやがった鬼畜である。
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