子ども達の煉獄 -the Children's Limbo-

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 ガッシャーーーーン!  ………………は?  ほんの一瞬前まで山の形を成していたモノが、瞬きする間にバラバラと崩れて散っていく。  ガラガラガラッーーーー  なにこれ、デジャヴ?  し、しかし、ここまで鬼が辿り着くのに、まだ僅かながら時間はあった筈だ。  「な、何が…………?」  「――――ホッホッホッ。いけませんねぇ、ズルは」  無残にも地面へと転がった石から視線を上に戻すと、目の前には細身の坊さんが立っていた。  袈裟を身にまとい、右手には錫杖、左手には 「えっ…………まさか、地蔵菩さ――――」 ドローンのリモコンを持っている。  「いや、お前かーーーーい!」  待って待って、情報量が多過ぎて思考が追いつかない。  地蔵菩薩は子どもを成仏させる存在で、だけどドローンで監視していて、石の山をデストロイした。  うん、整理しても分からん。どゆこと?  もう何なの、このラスボス感を漂わせてる菩薩は。お前そっち側のキャラちゃうやろ。マジで闇堕ちしてたのか。  理解不能な状況だが、1つだけ確実に分かることがある。  これはもう詰んだ、ということだ。  あと一歩のところで、積めなくて詰んだ。  ハハッ、つまんねぇダジャレ。  もう完全に諦めた俺を横目に、菩薩は鬼に蹴散らされた子ども達の傍へと近づいていく。  「うんうん。あなた達は皆、もう十分に頑張りました」  そう口にして静かに手をかざすと、子ども達は眩い光に包まれる。  あれっ? もしかして、これは…………。  しばらくすると、子ども達は薄れゆく光と共に、音もなく姿を消した。  「イッツ成仏タイムか!」  なぁ~んだ、助けてくれるんじゃん。  石の山を崩された時は驚かされたけど、それも含めて鬼と菩薩のドッキリってわけね。案外お茶目さんかよ。  ドローンで撮影までしちゃって、性格悪いなぁ~もう。  …………いや、ホントに。良かった、ヨカッタ。  拭い切れない不安を抱く俺の前に、菩薩は鬼を伴いながら歩み寄った。  次は俺の番……だよね? ねっ?  ほら、パァーーっと成仏させてくr――――  「いや、君は全然、まだまだですよ」  キッパリと菩薩が言い放った直後、鬼がバールのようなものを高々と振り上げる。  「ハハッ……ですよねーー」  ドスッッッ!!  真っ赤に染まる視界の中、この1日で得られた教訓が脳裏をよぎる。  ――親より先に死ぬな。  ――地道に頑張れ。  ――菩薩は敵。  それと、もう1つ。  ――尖った部分で殴られると、死ぬほど痛い。
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