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未来
始まりは夜の店でたまたま顔がいいから指名しただけだった
そこから俺が華来に気に入られ付き合い始めた
はじめは店をやめさせるように仕向けるだけのつもりだった
「俺、月収50万は安定して入るようになったよ」
「華来のこと、養えるぐらいには稼げるようになったよ」
「疲れた?全然お金のことは心配しなくていいよ」
そんなことを言っていたら華来は仕事にだんだんといかなくなり最終的にはやめた。
あ、こんな簡単に人間って操れるんだ!そう感激したと同時に何かを失った気がしたんだ。
だけど、これはきっと華来が悪いんだ、俺と付き合ってるのにほかの男と一緒にいる仕事を続ける華来が......
華来......俺は華来のこと今も....
俺は華来を自分のものにしたいだけだった。友人、家族とも縁を切るように仕向けた。
結果、華来は自殺した。
意味が分からなかった、俺のどこが間違ってたんだ?どこから......
死ぬ前に華来は俺と付き合ってたこと、俺に家族、友人と縁を切るように仕向けられたこと、そして今から死ぬということをネットにすべて晒した。
そのせいで俺は炎上したんだっけ......
華来は死んでも、きれいだった。華来は最高の人間だ。
そんなことをかこのことを思い出していたらスマホが震えイマから連絡がきた。
『なう、謝罪の件なんだけど、今は特に謝らなくていいかも』
俺は意味が分からなかった、すぐに謝らないとさらに炎上してしまうのではないか?と考えていたからだ
「えーっと、なんでか教えてくれない?」
『今は炎上のピークだと思うんだ、そこに謝罪したらさらに炎上してしまう。』
何かで聞いたことがある、人は謝っている人に群がるものだと、誤っているものには石を投げていいと思っていると。
「わかった!わざわざありがとう。」
事務所勤めってのは頼りになる、俺も事務所に入っとけばよかったーと後悔する。そんなことを考えていたらおなかが減ったことに気づく。
ちゃんとしたもの、食べよう...
ふらふらと家を出ていつものルート、適当なお弁当を買って帰る。
飯にこだわりがないわけではない、ただ適当でいいかと思っただけ。
そんなことを思いながら飯を食べた、このお弁当がまずいのか?一人だからまずいのか?そんなことを思いながら味がないお弁当を食べる。
食べ終わったちょうど、スマホを手に取りこはくに連絡する。
「こはく、一人で食べる飯はさみしいよ、明日人とごはん行くの久しぶりなんだ。楽しみ」
『ほんとですか!私もすっごく楽しみなんです!うれしいです!!!』
こはくからすぐに返事が来て少しびっくりした。
「こはくは本当に俺のことが好きなんだね、俺もうれしいよ」
『誰よりも、なうさんのこと好きな自信がありますよー!』
好き、そんな言葉が好きだ。特に琥珀から言われるのは気分がいい
「ありがとう、すごくうれしいよ」
「これからもずっと俺のこと好きでいてね」
『もちろんです、ずっとずっとすきです』
そんなたわいのない会話を続けていた、その時だった。
ピンポーン
限界のチャイムが鳴った
「はーい、どちら様で...」
言葉が詰まる、
だって目の前にいるのは華来だから。
「華来!華来、好きだ」
華来はずっと黙っていた。沈黙が続いたとき華来は口を開いた。
「そろそろ前を向いて今を見たら?」
華来にそう言われ俺は何も言い返せなかった。
華来が後ろを向いて立ち去る
「待って、いかないで」
華来の服を思わずつかみ押し倒してしまう。
華来の倒れた周りにはアサガオがたくさん咲いていた。
「華来、逃がさないから。俺とずっと一緒にいてよ」
華来が口を開いた瞬間
俺は天井を見ていた。外が明るい。
ハッとして急いで玄関に行く。
アサガオなんてなかった、もちろん華来も。
思い返してみるとあれは夢だったことに気づく
華来はもう死んでいるのだ。当たり前だ。
スマホが震えこはくから連絡が来ていることに気づく。
「今日楽しみです!寝坊しないでくださいね~」
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