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「ふふふ…戸惑っているな」 大型スクリーンに映し出された高階彰斗の様子を満足げに見つめるふたつの影があった。部屋をやや暗くしているのは雰囲気づくりのためである。何となく秘密組織っぽくて気に入っている。 「これは何だ、Dr.アクアマリン」 「前回ライトニングボルトめが倒したと思っている、怪人メッダーツの真骨頂にございます」 恒例の必殺技シャイニングなんとかをくらったと見せかけて、実はメッダーツは微粒子レベルに分裂して正義のヒーローであるライトニングボルトの全身にびっしりと取りついているのだ。そして、その取りつかれた対象は、やたらに目立って衆目を集めずにはいられなくなってしまう。 それは変身前の姿となっても有効である。 「この映像もメッダーツから送られてきているものです」 「おお…」 感嘆の声が首領から漏れて、参謀も会心の笑みがこぼれる。 「変身前、あやつはこんな顔をしていたんですなあ」 「意外とイケメンだな」 ヒーローはイケメンが定番です、とは言わず、代わりに口にしたのは、「ただの社畜にございます」という言葉だった。 「わたくしめも同胞がやられていくのをただ眺めていたわけではございません」 「つまり…?」 「ライトニングボルトは誰かに見られていると、変身ができないのです」
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