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思いがけぬこと
あれから、2ヶ月が経って夢はすっかり皆と学校に慣れていたときだ。朝ごはんを食べながらニュースを見ていたら、とんでもない事が目に入った。
うそだ、こんなの嘘に決まってる。大地震が起きるなんて嘘だ。
だって、気配がしないんだもん。気配がしないということは、地震は起きない。私はそう自分に言い聞かせた。夢のおばあちゃんは、大地震で不安だった。
不安過ぎて、夢に家の防護を強化してほしいと伝えるほどだった。
あぁ、おばあちゃんビビり過ぎだよ。家の防護を強化しなくても十分だよ。私は何度も言ったが、「もし十分じゃなかったら、どうするの?」と、うるさかったから、家を強化してあげた。
家を出る時間。学校に行く途中、近所の人たちは地震について話している。
「もし地震があったら、困るな。」
私は呟いた。ぼーっとしてる間に、池見と遭遇した。
私は、気にせず校門に向かった。すると、石ころが地面に転がるのを見かけた。あれ、石ころ?なんで転がってんだろ。私は後ろを振り向いた。私は固まった。池見は石をを持って、私に投げる準備をしていた。
「池見ちゃん、なんで石を持ってるの?投げちゃ駄目だと思うけど」
「っ...う...うるさいわね、前から思っていたけどあなた、毎回毎回むかつくのよ」
池見の顔は赤かった。なんで?私は何もしてないのに。
「私、池見ちゃんになんかした?」
池見は何も答えなかった。すると、池見は手に持っていた石を私に向かって全部投げてきて、校舎に向かって走っていった。
「.......」
痛い、すごく痛い。私は何も言えなかった。この痛みはなんだろう。この光景を同じ学校の人が見ていた。笑っている人もいるし、少し引いてる人もいる。だけど、すぐに駆けつけてきた人がいた。春菜と戒斗だった。
「大丈夫?保健室に行こっ」
二人は私を保健室に連れてってくれた。保健室にある鏡を見ると、右目のまぶたの周りが切れていて、血が出ていた。やっぱり、そうだったんだ。視界が上手く見えないと思った。池見が石を投げてきた時、意外と大きい石が私の目の周りに当たったと思った。
保健室の先生、天美先生が私の手当をしてくれた。右目に、包帯を巻いていて、今は左目でしか見えないという状態だ。
不便だな。なんて不便。なんで池見ちゃんはこんなことをしてくるんだろう。なんで嫌がらせをしてくるんだろう。池見ちゃんからの嫌がらせは久しぶりだな。
今まで私は池見ちゃんに恨まれていたんだ。辛いな辛いな。そう思った。
手当が終わって教室に入ると、池見は先生に怒られていた。きっと、私に石を投げたことで怒られているんだな。
そう思って席についた。私を見かけたときやが駆けつけてきて言った。
「おい、その目どうしたんだよ」
「あの池見が夢ちゃんに石を投げたんだよ。ひっどい」
「夢ちゃん、大丈夫?」
「う...うん」
あぁ、声をかけなくてもいいのに。心配してくれるのは嬉しいけど、皆が私に、いや。私が皆と関わるに連れて嫌な思いをするんだよな。あでも、皆を嫌ってるわけじゃないよ。ただ、池見ちゃんについてで不安なだけ。
石投げ事件から二時間。理科の授業だ。先生が実験の説明をしているときだ。私は、嫌な予感がした。血の気が引いた。
やばい、やばい。地震のことは本当だったんだ。どうしよう。
私は授業に集中できなかった。ぼーっとしていたのか、先生は私の名前を何回も読んでいたことに気がついた。
「松野さん、大丈夫ですか?」
私は何も言えなかった。先生が私を心配しているときだ。
『ウーッウーッウーッ!地震です、地震です、大きな揺れにご注意ください、地震です地震です...........』
先生のスマホが鳴って、校内放送に机の下に隠れるよう指示が出ていた。地震の警報がなって二分。何も起きなかった。
ときやが「なにもないじゃん。ただの間違いだ....」と言った瞬間、揺れが始まった。その揺れは、想像以上に強くて、机の足を抑えても机が倒れるくらいの揺れだった。一度揺れが収まった。
いつまた揺れてもおかしくない状態だ。クラスの皆は机の下からでた。私はもう一度嫌な予感がした。次はもっと強い揺れが襲ってくると気づいた。
『皆を守りなさい...』
声が聞こえた。皆を守らないと!「皆、机の下に.....!」私が急いで皆に呼びかけようとすると、とんでもない揺れが襲ってきた。
棚も倒れて、テレビも倒れていて、屋根を見ると、ヒビが入ってる。屋根が落ちてもおかしくない状態だ。
大きな揺れで、池見ちゃんや春菜ちゃんたちが泣いている。
どうしよう、屋根がそろそろ落ちるかも。皆を守らないと!
魔法を使うしかないのかな.....でも、魔法が使えることは言っちゃ駄目って言われた。そう迷ってる時に、声が聞こえた。
『夢、私は魔法について語ってはいけないと言ったけど、今は魔法を使いなさい。皆を守りなさい』
この声は夢のお母さんだった。
「お母さん、わかった。わかったよ、魔法でなんとかする、だから...だから、そばにいてね。」夢は小さな声で呟いた。
夢は揺れている中、机の下から出た。それを見た先生は、夢に「何してんだ!机の下に隠れろ!」と指示を出したが、夢は何も言わなかった。無視をしてた。
夢は一度深呼吸をして、手と手を合わせながら呟いた。
「大丈夫、私ならできる」夢は手を少しずつ広げた。
手を広げるにつれて、紫の膜が大きくなっていた。夢はバリアを全校生徒に貼った。
「先生!皆に校庭へ行くようにしてください!」
「.....松野!これはどういうことだ!」
「あ...とで説明します!早く!」
先生は、皆に校庭へ避難させるよう指示を出した。
全校生徒の皆が、校庭に避難して数分後....揺れは収まった。
私は揺れが収まってから、校庭へと出ていった。
※揺れながらの避難は危ないと思うがバリアがあるので避難したそうです。
「先生!皆はいますか?」
「いいや、七瀬さんがいないぞ」七瀬は池見のことだった。
うそ、まだ中にいるの?バリアを貼ったのは全校生徒だけ。学校は
そろそろ崩壊するのに!
「先生、池見ちゃんを連れてきます!」
私は校舎に向かって走っていった。いくら私に嫌がらせをしてる池見ちゃんでも、助けないと。私は自分にそう決意して、池見ちゃんのことを必死に探した。
「池見ちゃん!池見ちゃん!聞こえるなら返事して!」
私は何度も繰り返し言った。あぁ、見えにくい。くらくらする。バリアを貼る魔法で体力が、そして右目が塞がってるから、池見ちゃんのことが探しにくい。校舎に入って十分たった。
私は、疲れ果てている。魔法を使って全校生徒の皆にバリアを貼ったからだ。バリアの魔法は人数によって、体力が削られる。
「池見ちゃん!どこに居るの!?」
そう何度も繰り返した。すると、助けを求める池見ちゃんの声が聞こえた。
「た...すけて、助けて!だれか!」
私はその声を頼りに池見ちゃんのことを探した。声が聞こえて数分、私は池見ちゃんのことを見つけた。三階の倉庫にいた。池見ちゃんは棚や瓦礫の下敷きになっていた。
なんで倉庫に居るのかわからない。私は魔法で瓦礫や棚を持ち上げた。瓦礫や棚の下から池見ちゃんが出ると、学校全体がミシミシ言ってた。
『やばい、学校が崩壊する!』
私は、池見ちゃんの腕を引っ張って、私達を囲むようなバリアを作った。
屋根や床が壊れてる。外にいた他の生徒や先生は、学校が崩壊する光景を見ていた。
「うそ、ゆ...めちゃん?池見ちゃん....」
「おいおい、夢達はまだ中に居るんだろ?」
崩れ落ちる学校を見ている他の生徒は絶望していた。
逆に、夢達は....
「夢ちゃん、頑張って!後少しで終わるからっ....!」
池見は夢を支えていた。夢の体力も限界を過ぎている。
頑張れ、頑張れ私、後少しで終わる、もう一度踏ん張るんだ!
夢が貼っているバリアには、徐々にヒビが入ってきた。
学校が完全に消滅してしまった。すべてが終わって、疲れ果てていた夢は倒れた。池見はそばにいることしかできなかった。
校庭にいた先生や春菜達は、夢と池見のことを探し始めた。夢と池見が瓦礫の下敷きになっていないかと不安な人も居る。探し始めて十分近く、二人が見つかった。先生が救急車を呼んで夢は病院に運ばれた。
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