『第二部 比翼連理 第九章 潮騒の鎮魂歌を』までの登場人物紹介

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『第二部 比翼連理 第九章 潮騒の鎮魂歌を』までの登場人物紹介

鷹刀(たかとう)ルイフォン  凶賊(ダリジィン)鷹刀一族総帥、鷹刀イーレオの末子。十六歳。  ――ということになっているが、本当は次期総帥エルファンの息子なので、イーレオの孫にあたる。  母親のキリファから、〈(フェレース)〉というクラッカーの通称を継いでいる。  端正な顔立ちであるのだが、表情のせいでそうは見えない。  長髪を後ろで一本に編み、毛先を母の形見である金の鈴と、青い飾り紐で留めている。  凶賊(ダリジィン)の一員ではなく、何にも属さない「対等な協力者〈(フェレース)〉」であることを主張し、認められている。 ※「ハッカー」という用語は、本来「コンピュータ技術に精通した人」の意味であり、悪い意味を持たない。むしろ、尊称として使われている。  対して、「クラッカー」は、悪意を持って他人のコンピュータを攻撃する者を指す。  よって、本作品では、〈(フェレース)〉を「クラッカー」と表記する。 メイシア  もと貴族(シャトーア)で、藤咲(ふじさき)家の娘。十八歳。  ルイフォンと共に居るために、表向き死亡したことになっている。  箱入り娘らしい無知さと明晰な頭脳を持つ。  すなわち、育ちの良さから人を疑うことはできないが、状況の矛盾から嘘を見抜く。  白磁の肌、黒絹の髪の美少女。  王族(フェイラ)の血を色濃く引くため、『最強の〈天使〉の器』としてセレイエに選ばれ、ルイフォンとの出逢いを仕組まれた。  セレイエの〈影〉であったホンシュアを通して、セレイエの『記憶』を受け取った。 [鷹刀一族]  凶賊(ダリジィン)と呼ばれる、大華王国マフィアの一族。  秘密組織〈七つの大罪〉の介入により、近親婚によって作られた「強く美しい」一族。  ――と、説明されていたが、実は、有機コンピュータ〈冥王(プルート)〉を維持するための〈(にえ)〉を強いられてきた一族であった。 鷹刀イーレオ  凶賊(ダリジィン)鷹刀一族の総帥。六十五歳。  若作りで洒落者。  かつては〈七つの大罪〉の研究者、〈悪魔〉の〈獅子(レオ)〉であった。 鷹刀エルファン  イーレオの長子。次期総帥。  ルイフォンとは親子ほど歳の離れた異母兄弟ということになっているが、実は父親。  感情を表に出すことが少ない。冷静、冷酷。 鷹刀リュイセン  エルファンの次男。イーレオの孫。十九歳。本人は知らないが、ルイフォンの異母兄にあたる。  文句も多いが、やるときはやる男。 『神速の双刀使い』と呼ばれている。  長男の兄が一族を抜けたため、エルファンの次の総帥になる予定であり、最後の総帥となる決意をした。 鷹刀ミンウェイ  母親がイーレオの娘であり、イーレオの孫娘にあたる。  ――ということになっていたが、実は『父親』と思っていたヘイシャオが、不治の病の妻を『蘇生』するために作った、妻から病気の因子を取り除いたクローン。  妻が『蘇生』を拒絶し、クローンを『娘』として育てるように遺言したため、心を病んだヘイシャオに、溺愛という名の虐待を受ける羽目になってしまった。  緩やかに波打つ長い髪と、豊満な肉体を持つ絶世の美女。ただし、本来は直毛。二十代半ばに見える。  薬草と毒草のエキスパート。医師免状も持っている。  かつて〈ベラドンナ〉という名の毒使いの暗殺者として暗躍していた。  現在は、鷹刀一族の屋敷を切り盛りしている。 草薙チャオラウ  イーレオの護衛にして、ルイフォンの武術師範。  無精髭を弄ぶ癖がある。 料理長  鷹刀一族の屋敷の料理長。  恰幅の良い初老の男。人柄が体格に出ている。 キリファ  ルイフォンの母。四年前に当時の国王シルフェンに首を落とされて死亡。  天才クラッカー〈(フェレース)〉。 〈七つの大罪〉の〈悪魔〉、〈(スコリピウス)〉に〈天使〉にされた。  また〈(スコリピウス)〉に右足首から下を斬られたため、歩行は困難だった。  もとエルファンの愛人で、セレイエとルイフォンを産んだ。  ただし、イーレオ、ユイランと結託して、ルイフォンがエルファンの息子であることを隠していた。  ルイフォンに『手紙』と称し、人工知能〈スー〉のプログラムを託した。 〈ケル〉〈ベロ〉〈スー〉  キリファが、〈冥王(プルート)〉を破壊するために作った三台の兄弟コンピュータ。  表向きは普通のスーパーコンピュータだが、それは張りぼてである。  本体は、人間の脳から作られた有機コンピュータ。光の(たま)の姿をしている。 〈ベロ〉の人格は、シャオリエのオリジナル『パイシュエ』である。 〈ケル〉は、キリファの親友といってもよい間柄である。 〈スー〉は、ルイフォンがキリファの『手紙』を正確に打ち込まないと出てこないのだが、所在は、もと〈(スコリピウス)〉の研究所にあることが分かっている。また、キリファの人格を持っていると推測されている。 セレイエ  エルファンとキリファの娘。  表向きは、ルイフォンの異父姉となっているが、同父母姉である。  リュイセンにとっては、異母姉になる。  生まれながらの〈天使〉。  王族(フェイラ)のヤンイェンと恋仲になり、ライシェンという〈神の御子〉を産んだ。  先王シルフェンにライシェンを殺されたため、「ルイフォンの中に封じた、ライシェンの『記憶』」と「〈(ムスカ)〉に作らせた『肉体』」を使って、ライシェンを生き返らせる計画――『デヴァイン・シンフォニア計画(プログラム)』を企てた。  ただし、セレイエ本人は、ライシェンの記憶を手に入れるために〈天使〉の力を使い尽くし、あとのことは〈影〉のホンシュアに託して死亡した。 『最強の〈天使〉』となり得るメイシアを選び、ルイフォンと引き合わせた。  メイシアのペンダントの元の持ち主で、『目印』としてメイシアに渡した。 パイシュエ  イーレオ曰く、『俺を育ててくれた(ひと)』。  故人。鷹刀一族を〈七つの大罪〉の支配から解放するために〈悪魔〉となり、その身を犠牲にして未来永劫、一族を〈(にえ)〉にせずに済む細工を施した。  自分の死後、一族を率いていくことになるイーレオを助けるために、シャオリエという〈影〉を遺した。  また、どこかに残されていた彼女の何かを使い、キリファは〈ベロ〉を作った。  すなわち、パイシュエというひとりの人間から、『シャオリエ』と〈ベロ〉が作られている。 [〈七つの大罪〉・他] 〈七つの大罪〉  現代の『七つの大罪』=『新・七つの大罪』を犯す『闇の研究組織』。  実は、王の私設研究機関。  王家に、王になる資格を持つ〈神の御子〉が生まれないとき、『過去の王のクローンを作り、王家の断絶を防ぐ』という役割を担っている。 〈冥王(プルート)〉  他人の脳から情報を読み取ることによって生じる、王族(フェイラ)の脳への負荷を分散させるために誕生した連携構成(クラスタシステム)。  太古の昔に死んだ王の脳細胞から生まれた巨大な有機コンピュータで、鷹刀一族の血肉を動力源とする。 『光の(たま)』の姿をしており、神殿に収められている。 〈悪魔〉  知的好奇心に魂を売り渡した研究者を〈悪魔〉と呼ぶ。 〈悪魔〉は〈神〉から名前を貰い、潤沢な資金と絶対の加護、蓄積された門外不出の技術を元に、更なる高みを目指す。  代償は体に刻み込まれた『契約』。――王族(フェイラ)の『秘密』を口にすると死ぬという、〈天使〉による脳内介入を受けている。 『契約』 〈悪魔〉が、王族(フェイラ)の『秘密』を口外しないように施される脳内介入。  記憶の中に刻まれるため、〈七つの大罪〉とは縁を切ったイーレオも、『契約』に縛られている。  また、〈悪魔〉であったセレイエの記憶を受け継いだメイシアや、パイシュエの記憶を使って作られた〈ベロ〉も、『契約』に縛られている。 〈天使〉 『記憶の書き込み』ができる人体実験体。  脳内介入を行う際に、背中から光の羽を出し、まるで天使のような姿になる。 〈天使〉とは、脳という記憶装置に、記憶(データ)命令(コード)を書き込むオペレーター。いわば、人間に侵入(クラッキング)して相手を乗っ取るクラッカー。  羽は、〈天使〉と侵入(クラッキング)対象の人間との接続装置(インターフェース)であり、限度を超えて酷使すれば熱暴走を起こす。 〈影〉 〈天使〉によって、脳を他人の記憶に書き換えられた人間。  体は元の人物だが、精神が別人となる。 『呪い』・便宜上、そう呼ばれているもの 〈天使〉の脳内介入によって受ける影響、被害といったもの。悪魔の『契約』も『呪い』の一種である。  服従が快楽と錯覚するような他人を支配する命令(コード)や、「パパがチョコを食べていいと言った」という他愛のない嘘の記憶(データ)まで、いろいろである。 『di;vine+sin;fonia デヴァイン・シンフォニア計画(プログラム)』  セレイエによる、殺された息子ライシェンを生き返らせるための計画。 『di』は、『ふたつ』を意味する接頭辞。『vine』は、『(つる)』。  つまり、『ふたつの(つる)』――転じて、『二重螺旋』『DNAの立体構造』――『命』の暗喩。 『sin』は『罪』。『fonia』は、ただの語呂合わせ。  これらの意味を繋ぎ合わせて『命に対する冒涜』と、ホンシュアは言った。 ヘイシャオ 〈七つの大罪〉の〈悪魔〉、〈(ムスカ)〉。ミンウェイの『父親』。故人。  医者で暗殺者。  病弱な妻のために〈悪魔〉となった。  妻の遺言により、妻の蘇生のために作ったクローン体を『娘』として育てていくうちに心を病んでいった。  十数年前に、娘のミンウェイを連れて現れ、自殺のようなかたちでエルファンに殺された。 現在の〈(ムスカ)〉  セレイエが『ライシェン』を作らせるために、蘇らせたヘイシャオ。  セレイエに吹き込まれた嘘のせいでイーレオの命を狙い、鷹刀一族と敵対していたが、リュイセンによって心を入れ替えた。  メイシアを〈悪魔〉の『契約』から解放するため、自ら王族(フェイラ)の『秘密』を口にして死亡した。 ホンシュア  殺されたライシェンの侍女であり、自害するくらいならとセレイエの〈影〉となって『デヴァイン・シンフォニア計画(プログラム)』に協力した。体は〈天使〉化してあった。 〈影〉にされたメイシアの父親に、死ぬ前だけでも本人に戻れるような細工をしたため、体が限界を超え、熱暴走を起こして死亡。  メイシアにセレイエの記憶を潜ませ、鷹刀に行くように仕向けた、いわば発端を作った人物である。 〈(サーペンス)〉  セレイエの〈悪魔〉としての名前。 〈(ムスカ)〉が、セレイエの〈影〉であるホンシュアを〈(サーペンス)〉と呼んでいたため、ホンシュアを指すこともある。 ライシェン  ヤンイェンとセレイエの息子で、〈神の御子〉。 〈神の御子〉の男子が持つ『情報を読み取る』能力に加え、〈天使〉のセレイエから受け継いだ『情報を書き込む』能力を持っていた。  彼の力は、〈天使〉の羽のように自分と相手を繋ぐことなく、〈神の御子〉のように手も触れずに扱えたため、先王シルフェンは彼を『神』と呼ぶしかないと言い、『来神(ライシェン)』と名付けた。  周りの『殺意』を感じ取り、相手を殺してしまったために、先王に殺された。 『ライシェン』 〈(ムスカ)〉が、セレイエに頼まれて作った、ライシェンのクローン体。  オリジナルのライシェンは盲目だったが、周りの『殺意』を感じ取らずにすむようにと、目が見えるように作られた。  凍結処理が施され、ルイフォンとメイシアに託された。 斑目タオロン  よく陽に焼けた浅黒い肌に、意思の強そうな目をした斑目一族の若い衆。  堂々たる体躯に猪突猛進の性格。  二十四歳だが、童顔ゆえに、二十歳そこそこに見られる。 〈(ムスカ)〉の部下となっていたが、娘のファンルゥに着けられていた毒針の腕輪が嘘だと分かり、ルイフォンたちの味方になった。 斑目ファンルゥ  タオロンの娘。四、五歳くらい。  くりっとした丸い目に、ぴょんぴょんとはねた癖っ毛が愛らしい。 [藤咲家・他] 藤咲ハオリュウ  メイシアの異母弟。十二歳。  父親を亡くしたため、若年ながら藤咲家の当主を継いだ。  十人並みの容姿に、子供とは思えない言動。いずれは一角の人物になると目される。  異母姉メイシアを自由にするために、表向き死亡したことにしたのは彼である。  女王陛下の婚礼衣装制作に関して、草薙レイウェンと提携を決めた。 藤咲コウレン  メイシア、ハオリュウの父親。厳月家・斑目一族・〈(ムスカ)〉の陰謀により死亡。 藤咲コウレンの妻  メイシアの継母。ハオリュウの実母。  心労で正気を失ってしまい、別荘で暮らしていたが、メイシアがお見舞いに行ったあとから徐々に快方に向かっている。 緋扇(ひおうぎ)シュアン 『狂犬』と呼ばれるイカレ警察隊員。三十路手前程度。イーレオには『野犬』と呼ばれた。  ぼさぼさに乱れまくった頭髪、隈のできた血走った目、不健康そうな青白い肌をしている。  凶賊(ダリジィン)の抗争に巻き込まれて家族を失っており、凶賊(ダリジィン)を恨んでいる。  凶賊(ダリジィン)を殲滅すべく、情報を求めて鷹刀一族と手を結んだ。  敬愛する先輩が〈(ムスカ)〉の手に堕ちてしまい、自らの手で射殺した。  似た境遇に遭ったハオリュウに庇護欲を感じ、彼に協力することにした。   [王家・他] 白金の髪、青灰色の瞳の先天性白皮症(アルビノ)の者が多く生まれる里を起源とした一族。 王家に生まれた先天性白皮症(アルビノ)の男子は必ず盲目であり、代わりに他人の脳から『情報を読み取る』能力を持つ。  この特殊な力を持つ者を王としてきたため、先天性白皮症(アルビノ)の外見を持つ者だけが〈神の御子〉と呼ばれ、王位継承権を有する。かつては男子のみが王となれたが、現在では〈神の御子〉が生まれにくくなったために女王も認めている。ただし、あくまでも仮初めの王である。 アイリー  大華王国の現女王。十五歳。  彼女の婚約を開始条件(トリガー)に、すべてが――『デヴァイン・シンフォニア計画(プログラム)』が始まった。  メイシアの再従姉妹(はとこ)にあたるが、メイシア曰く『私は数多の貴族(シャトーア)のひとりに過ぎなかった』。 シルフェン  先王。四年前、腹心だった甥のヤンイェンに殺害された。 〈神の御子〉に恵まれなかった先々王が〈七つの大罪〉に作らせた『過去の王のクローン』である。 ヤンイェン  先王の甥。女王の婚約者。  実は先王が〈神の御子〉を求めて姉に産ませた隠し子で、女王アイリーや摂政カイウォルの異母兄弟に当たる。  セレイエとの間に生まれたライシェンを殺されたため、その復讐として先王を殺害した。  メイシアの再従兄妹(はとこ)にあたる。 カイウォル  摂政。女王の兄に当たる人物。  摂政を含む、女王以外の兄弟は〈神の御子〉の外見を持たないために、王位継承権はない。  異母兄にあたるヤンイェンとの結婚を嫌がる妹、女王アイリーのため、ハオリュウに『君が女王の婚約者になれば、女王の結婚が延期される』と陰謀を持ちかけた。 [草薙家] 草薙レイウェン  エルファンの長男。リュイセンの兄。  エルファンの後継者であったが、幼馴染で妻のシャンリーを外の世界で活躍させるために 鷹刀一族を出た。  ――ということになっているが、リュイセンに後継者を譲ろうと、シャンリーと画策したというのが真相。  服飾会社、警備会社など、複数の会社を興す。   草薙シャンリー  レイウェンの妻。チャオラウの姪だが、赤子のころに両親を亡くしたためチャオラウの養女になっている。  王宮に召されるほどの剣舞の名手。  遠目には男性にしかみえない。本人は男装をしているつもりはないが、男装の麗人と呼ばれる。  タオロンの人柄と腕っぷしを評価し、彼をレイウェンの会社にと推薦した。 草薙クーティエ  レイウェンとシャンリーの娘。リュイセンの姪に当たる。十歳。  可愛らしく、活発。 鷹刀ユイラン  エルファンの正妻。レイウェン、リュイセンの母。  レイウェンの会社の専属デザイナーとして、鷹刀一族の屋敷を出た。  ルイフォンが、エルファンの子であることを隠したいキリファに協力して、愛人をいじめる正妻のふりをしてくれた。  メイシアの異母弟ハオリュウに、メイシアの花嫁衣装を依頼された。 [繁華街] シャオリエ  高級娼館の女主人。年齢不詳(若くはないはず)。  外見は嫋やかな美女だが、中身は『姐さん』。  実は〈影〉であり、イーレオを育てた、パイシュエという人物の記憶を持つ。 スーリン  シャオリエの店の娼婦。  くるくる巻き毛のポニーテールが似合う、小柄で可愛らしい少女。ということになっているが妖艶な美女という説もある。  本人曰く、もと女優の卵である。実年齢は不明。 ===大華王国について===  黒髪黒目の国民の中で、白金の髪、青灰色の瞳を持つ王が治める王国である。  身分制度は、王族(フェイラ)貴族(シャトーア)平民(バイスア)自由民(スーイラ)に分かれている。  また、暴力的な手段によって団結している集団のことを凶賊(ダリジィン)と呼ぶ。彼らは平民(バイスア)自由民(スーイラ)であるが、貴族(シャトーア)並みの勢力を誇っている。
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