落ちぶれボム

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 国王と隣国が戦争をしていた。  国王が兵士を募集していると聞き、ボムは兵士になる為、故郷を出ると決めた。農村で、ちんたら仕事をしてるなんて性に合わない。 「手柄を立てて成り上がるんだ!」  大柄で、力自慢のボムは自信満々だった。 「お前は行かないのか?」  ボムは、行かないと言うに決まっていると思いながら幼馴染のナムに訊いた。ナムは小柄で見るからにひ弱に見えた。実際に身体が弱く、少し仕事をやり詰めるとふらふらしてきて、それで今も休憩している所だった。ボムの方は付き添いを口実にしたサボりだ。  ナムは、小さな虫を自分の指に昇らせながら言う。 「僕は、無理だよ。ボムみたいに身体も大きくないし、強くないから」  ボムはそうだな、と思う。 「お前、戦場じゃなくても一番に死にそうだよな」  ナムは、笑った。 「そうだよね」 「ははは!」  ボムも笑った。    ナムは自分の指先をちょろちょろと這う虫を見つめて言う。 「ボム、手柄を立てて出世しなよ。期待しているよ」 「おう! まかせとけ!」  ボムは胸を張って言った。  ナムは、ボムを見上げた。ボムが眩しかった。 「必ず帰って来てね」 「はは! 当り前だろ!」  ボムは、得意げに笑った。  ボムは、村を出て国軍に参加し、短期の訓練を受けた後、軍からの装備を身に付け出撃した。  戦争は、ボムが思っていた以上に凄惨を極めた。ボムは、命欲しさに逃げ出した。  
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