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ぼくは二階の自分の部屋に行って、中学の授業で使うこん棒を二本、持ってきた。
リビングにもどると、お父さんは猟銃を手にしていて、お母さんは短い槍を持っていた。どちらも、寝室に置いてあるものだ。月に一度、村役場主催の講習会があり、お父さんとお母さんはそれに参加して、猟銃と槍の練習にはげんでいる。
「あっ」
と、突然お父さんが声をあげた。「武器も大事だけど、まずは戸締りだな」
「そうよ。順番が逆じゃない」
「いや、すまんすまん。玄関はおれが見てくるから、ふたりはここにいなさい。あっ、その間に、そこの窓を確認しておいてくれ」
お父さんが玄関のほうへ出ていく。
その間に、ぼくたちは、お父さんに言われた、リビングのふたつの窓を確認した。どちらも、ちゃんと施錠してあった。
と思ったら、
「あっ」
と、今度はお母さんが声をあげた。
「どうしたの?」
「勝手口、カギ閉めたかしら?」
お母さんが言っているのは、台所のほうにある出入り口のことだ。
どうだったかしら、と、お母さんは上目使いで考えはじめる。
お母さん、考える前に動いてよ、と、ぼくは言いたかった。考えている間に、確認して来られるじゃないか。
「あっ、マモル、待って」
お母さんが止めるのを無視して、ぼくは台所のほうへと飛び出した。
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