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【暗転】
「ああ…嫌だな…。」
乱暴にここまで私を連れてきて、取り囲んでいる男たち。
手に手に武器や農具を持ち、口々に私を罵る言葉を投げつけてくる。
こんな理不尽なことが、なぜ。
「大した器量もないくせに、どうやって白き神をたぶらかした、この魔女め。」
「うちの村だけ貧しいのはおまえのせいだろう…!」
「禁域への道が隠されているのもおまえの差し金か。あとで吐かせてやるからな…!」
シロ、私の愛する神さま。
幼い頃から、あなたと一緒にいられて、しあわせでした。
短い人生でも、死ぬまで一緒に過ごして。
死後は、山の生き物たちの糧となり、山の土の一部になりたかった。
そうしてあなたの山で眠りについて、いつか自然に精霊に生まれ変われたなら、その時こそ、ずっとおそばに。
帰れそうにない。
死後も、帰れそうにない。
「帰りたい、あなたの山に…!」
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