ぼくは、お財布くん

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 あ、その前に。ぼくは何故、達哉の物になったのか。達哉の祖父さんの、大学入学祝のプレゼントだったんだ。  祖父さんってのが、ちょっと変わってて、古い考えの持ち主なんだ。子供にお金をあげないっていう。  大人ってのが、祖父さんの中では、高校を卒業したららしいから、まだギリ高校生だった達哉のお祝いは、財布になったんだ。  因みに達哉の祖父さんは、祖父さんのお祖母さんが、文具兼雑貨店を営んでいたから、普段使う物は困らなかったし、お菓子なんかは昔の事で、田舎だったから、ご近所のお店はツケで買えるし。  そもそもオヤツは家に届けられたんだ。サザエさんに出て来る、サブちゃんみたいな感じ?  あんなのとか、こんなのとか言っとくと、他の物と一緒に、届いてた。だから達哉の祖父さんも、高校卒業する頃まで、あんまりお金を触った事が無かったんだって。  達哉の母ちゃんも、高校卒業するまで、お年玉は図書券だったって、笑ってたくらいだし。  
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