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「言ったわね。これであなたは私を受け入れた」大きく手を広げる聡美。カッと目を見開いた。「あなたに殺された私の苦しさを、つらさを、痛みを、何倍にもして返してあげる!」
怒号をあげて聡美が迫ってくる。
「ぎゃあぁっ!」
叫ぶ北原。その時――。
「待つんだ、聡美さんっ!」
男性の声が聞こえてきた。電話で話した沢井という刑事らしい。
「後は警察に任せてほしい。こんな男に復讐して君が悪霊になってしまう必要はないよ。もう充分だから、安らかに成仏するんだ」
駆け込んできた沢井が訴えかける。
「先輩、そうやって幽霊相手にも優しく話す姿、素敵です。見なおしちゃいました」
そう言いながら、若い女性も現れた。おそらく星奈という刑事だろう。
聡美の視線がそちらに向く。刑事達が現れたからか、驚いているような表情だ。
「な、何を言ってるんだ、こんな時に!」
沢井が戸惑っている。しかし、なぜか急にガックリとして、その場に崩れ落ちた。
えっ?
唖然とする北原も、意識が遠のいていくのを感じる。沢井に続き冷たいフロアに倒れてしまった。
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