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 とりあえず、聡美の家族や松岡以外の友人にも話を聞いた。すると、確かにストーカーらしき者の影がちらついていたことがわかる。  更に……。  「聡美さん以外にも、ここ半年のうちに近隣で行方不明になっている若い女性が2人います」と心美が調べて判明した。「もしかしたら関係するかもしれません」   「3人の共通点は?」  なんだかんだ言いながら、沢井も事件につながる可能性を感じ始めている。  「知り合いではないし、職場も違うし、同じ市内とはいえ住んでる場所も離れています。ただ……」  思案顔の心美。  「どうした?」  「3人が通勤するためのルートを確認してみたんですが、一カ所だけ交錯しているところがありますね。この、3丁目の交差点付近。すれ違ったりしていたかもしれません」  心美が地図アプリを見せながら説明した。  「もしその3人が同じストーカーに目をつけられたんだとしたら、そいつもその辺りに出没する可能性があるな」  「ですよね? さすが先輩! 私もそう思ってました」  両拳を握りしめて見つめてくる心美。胸がときめきそうになるのを堪える沢井。  その場所を確認し、聡美以外の失踪者2人の家に行ってみることにした。心美に運転を任せ、助手席に座る。スマホで『お帰り屋さん』について検索した。  地域限定型都市伝説といった感じで、綾名市近辺に伝わっているらしい。全国的にならなかったのは、口が裂けているとか人面の犬といった奇抜性がないからだろう。霊を呼び戻すだけの話なら、昔からいろんな地域にある。
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