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行方不明の女性達の家にはどちらも母親がいて、部屋も持ち物も確認させてくれた。
2人は貴重品共々消えている。スマホもない。だが、片方の女性は部屋に個人用のパソコンを持っていた。
しかも、パスワードをメモに書いて貼り付けてあった。一応裏側の目立たないところだが、危機管理能力があるとは思えない。
「パスワードって覚えるの面倒ですからね。まわりを探ると見つかること多いんですよ。先輩も気をつけてくださいね」
心美がそう言いながら、パソコンを起動させあれこれといじる。しばらくすると、モニターに多くの画像――おそらく本人や仲間内で撮ったスナップ写真だろう――が並んだ。
「スマホで撮ったのをクラウドで保存していたようですが、パソコンからもアクセスできるようになってました」
「なるほど……」
2人して全ての写真を確認していく。
最近のいくつかに、気になる人物が写っていた。若い男性だ。仲間ではないようだが、端っこにいたり、何かに隠れるようにして彼女を見ている。しかも、別の日、別の場所でもだ。
「この男、怪しいですね。ストーカーかもしれません」
「断定するのは早いが、一応身元を確認してみよう」
頷き合い、男が写る画像を転送した。それを手がかりに、女性の同僚や知り合いに聞き込みに行く。
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