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男を知る者はなかなか見つからなかったが、諦めかけたとき意外なところで手がかりとぶつかった。例の行方不明女性3名が共通して歩いていたらしい交差点近くにある、コンビニの店員だ。
「ああ、この人よく来ますよ。近くに住んでるのかな?」
「名前とかわかります?」
心美が勢い込んで訊くが、店員は首を振った。しかし……。
「そういえば、あの向かいのビルの地下にあるバーによく行くらしいですよ。何回か出てくるのを見ました」
よし、と頷き合い、沢井と心美はそのバーへ向かう。
「北原君じゃん」警察官の身分証を手に心美が笑顔で訊くと、開店準備中の男が教えてくれた。「北原精肉産業の社長の息子だよ。本人もなんか幹部になってる。七光りだろうけど」
「精肉業者ということは、大型の冷凍庫とかあるはずですね」
店を出てすぐに心美そうが言った。
「それがどうしたんだよ?」
「もし女性を監禁した後に殺害した場合、遺体を冷凍庫に隠している可能性があります」
ま、まさか……!
沢井は思わず目を見張った。
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