禁忌の森にある洞

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 彼は子供達をしばらく眺めていた。 「すみません。お待たせしました」 「あぁ」  ぱたぱたと先ほどの女性店員がやってきた。  そこで初めて彼女はロシェルと目が合う。  一瞬の間があっただろうか。  女性はロシェルの顔をみてぽかんと口を開けていた。 「どうしたんだ? そんな間の抜けた顔をして」 「ろ、ロシェル! あんた、なんで此所にいるの!?」 「ご挨拶だな、ウェービス。俺が帰ってきちゃだめなのかい?」 「え、帰って」 「一時的だけどな。村の近くに来たから、寄ったんだ」 「そ、そうなんだ」  ウェービスは微妙な表情をしていたが、ロシェルはそれに気付かなかった。その前に、彼女がこの五年でぐっと綺麗になっていることに、彼は驚いていた。 「ウェービス! 何油を売っているんだ! 仕事しろ仕事!」  厨房から、がなり声が響いてきた。 「あ、お父さん! ロシェルよ! ロシェルが帰ってきたの!」 「あ?」  彼女の声に厨房から壮年の男カルロが顔を出した。  それだけじゃない。店の中にいた数人が彼女の言葉に反応する。 「まさか……ロシェルなのか?」 「え? 村を出ていったロシェル?」  彼の話はあっという間に村中に広がった。
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