4人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は子供達をしばらく眺めていた。
「すみません。お待たせしました」
「あぁ」
ぱたぱたと先ほどの女性店員がやってきた。
そこで初めて彼女はロシェルと目が合う。
一瞬の間があっただろうか。
女性はロシェルの顔をみてぽかんと口を開けていた。
「どうしたんだ? そんな間の抜けた顔をして」
「ろ、ロシェル! あんた、なんで此所にいるの!?」
「ご挨拶だな、ウェービス。俺が帰ってきちゃだめなのかい?」
「え、帰って」
「一時的だけどな。村の近くに来たから、寄ったんだ」
「そ、そうなんだ」
ウェービスは微妙な表情をしていたが、ロシェルはそれに気付かなかった。その前に、彼女がこの五年でぐっと綺麗になっていることに、彼は驚いていた。
「ウェービス! 何油を売っているんだ! 仕事しろ仕事!」
厨房から、がなり声が響いてきた。
「あ、お父さん! ロシェルよ! ロシェルが帰ってきたの!」
「あ?」
彼女の声に厨房から壮年の男カルロが顔を出した。
それだけじゃない。店の中にいた数人が彼女の言葉に反応する。
「まさか……ロシェルなのか?」
「え? 村を出ていったロシェル?」
彼の話はあっという間に村中に広がった。
最初のコメントを投稿しよう!